逍遥遊
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9. Independence[790.2] - Red's Meadow[906.6]


 Independenceの町からPCTに戻るにはヒッチハイクしかないが、この道路の先はトレイルヘッドまでで行き詰まりになっており車が少ない。地元のドライバーに話をつけて、一人5ドルで運んでもらうことになった。ハッチバックの普通乗用車にドライバー+ハイカー10人+バックパック10個を無理やり詰め込み出発!



2009.06.12 Fri 00:21
BACK TO THE TRAIL 

現地時間11日7:00
十分に休憩して、十分に食べて、今日からまたトレイルに戻ります。次の補給は約125マイル先のREDS MEADOWからMAMMOTH LAKESの町に降りて行う予定です。
もうすでにジョン・ミューア・トレイルと合流しています。PCTの中でも特に楽しみな区間です。では行ってきます!

峠越えのJMT

 これから先は標高3500m前後の峠越えが続く。順番にKearsarge Pass、Glen Pass、Pinchot Pass、Mather Pass、Muir Pass、Selden Pass、Silver Pass。それぞれの峠の登り降りの標高差は約1000m、一日一峠が基本だろう。

 この時期、峠付近はまだ相当の雪が残っている。深い雪に足を捕られることもしばしば。朝のうちの残雪はまだハイカーの体重を支えるだけの硬さを保っているが、日が高くなってくると雪はすぐに柔らかくなり、一歩踏み出した途端に雪の表面がハイカーの体重を支えきれずに落ち込んでしまうのである。脚一本が完全に雪に飲み込まれてしまうようなこともざらである。ちなみにこのような状況を、柵の支柱を立てるための深い穴に模してPost-Holeと現地のハイカー達は呼んでいる。Post-Holeを避けたいならば午前中のうちに峠を越えるのが賢い。


Kearsarge Passからの眺め。ここはPCTではないがIndependenceの町で補給するならば越えなければならない峠。
Glen Pass[792.5]の降り。峠北側はかなりの急傾斜。グリセードで直滑降!
Rae Lakes[795.1]
Pinchot Pass[807.9]にて。この峠は簡単だった。
写真の低くなった鞍部がMather Pass[817.4]。この峠の登りはJMTで一番怖かったかもしれない。
この雪の壁の向こうがMather Pass頂上。
6月14日、Muir Passへ向かう。
トレイルは完全に埋まっているので地形図とコンパスが頼り。
Muir Hut到着の際の動画。
Muir Pass[837.9]頂上に到着。この日はスルーハイカーのグループと一緒になったので賑やかなMuir Hutであった。
バックパッカーズ・ギターを背負ったスルーハイカーもいる。贅沢な演奏、曲はジョン・デンバーのカントリー・ロード。
さよならMuir Hut!
Muir Passの後は天気が崩れて雪の中の行軍となった。
Silver Pass[884.2]からの眺め。
Lake Virginia[890.9]。大きな鏡が横たわる

渡渉

 歩いて水を渡ることを渡渉と呼ぶ。トレイルは何度も川を渡るのだが、特別大きな川の場合を除いてほとんど橋が架けられていない。うまく倒木や飛び石があればそれを使うのだが、やはり渡渉せざる得ない所が必ずある。

 川は気温や天候によってその表情を変える。気温が高くなれば雪解けが進み水量も増える。一日の内でも、気温の低い朝方と比べると午後は水量が多い。また雨が降れば当然水嵩が増す。Selden Passの後、雨の中渡ったBear Creek[867.8]は怖かった。膝下程度なら大した問題ではないが、腰まで沈むような渡渉は命がけである。
 Evolution Creek[849.9]


Red's Meadow

 6月17日、トレイルは小さなリゾート地Red's Meadow[906.6]の側を通る。ここからバスでMammoth Lakesの町に補給に下りた。

2009.06.20 Sat 16:20
MAMMOTH LAKES 

現地時間19日23:00
17日に906マイル地点REDS MEADOWからMAMMOTH LAKESの町に降りてきています。 前回の補給から六泊七日でKEARSARGE(サイドトレイル)、GLEN、PINCHOT、MATHER、MUIR、SELDEN、SILVERと七つの峠を越えてきました。トレイルはピークを目指すのではなく、峠を越えてその先へと続きます。「峠越えのない旅行は、まさに餡のない饅頭である」とは柳田國男の言葉ですが、峠があることで環境・景観に変化が生まれ、またその先へと旅人をいざなってくれます。そして幾つ峠を越えてもシエラの大自然は尽きません!言葉で表すのは困難ですが、とにかく素晴らしいトレイルです。ギャラリーに写真をアップしたのでそちらも見てみてください。
明日朝またトレイルに戻ります。少々寄り道をしてJMTを辿りヨセミテ渓谷まで行ってくるつもりです。 それではまた。


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