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装備の自作について
道具は手段であって目的ではない。言うまでもないことだが、ハイキングの目的はハイキング。装備はその目的を実現するための手段でしか無い。アウトドアギアの進歩はハイカーに大きな恩恵をもたらすが、時に新奇なギミックやブランドネームは使う側の目を曇らせる。道具を使うために山に行くのでは本末転倒だ。目先の華やかさに惑わされず、道具を道具として扱う。単純なことだがこれが案外難しい。
長距離ハイキングは道具を純粋に道具として扱うことを教えてくれる。トレイルで過ごす長い日々が、道具を本来の「手段」としての立場に戻し、道具の先にある「目的」を拡大してくれる。目的さえ果たすならば道具は何でも良い、こう言えるのがリアルなハイカーだ。バックパックは袋にベルトを付けたもの、シェルターは雨風を防ぐための布。装備はどんどんシンプルになり、ギア自作のハードルはどんどん低くなる。「自作」は決して限られた人だけの特別な技術ではないのだ。
縫製や服飾に関しての知識は必須ではない。ミシンも家庭用ミシンで十分。私も全くの素人だが自作のバックパックやタープで長距離トレイルを歩ききることが出来た。「鑑賞」に耐える道具を作るのには熟練が必要かもしれないが、「実用」に耐える道具というのは案外簡単に作れるもの。ミシンの基本的な使い方（説明書に載っているレベル）さえ知っていれば、誰でもスタッフサック程度は作れる。バックパック・タープ・寝袋・衣服などに関しては自作キットやパターンなどが販売されている。インターネット上には自作ギアに関する情報が山とある。既製品を注意深く観察すれば、そこから沢山の知恵を得ることが出来る。少しずつステップアップしていくことで、始めは思いも寄らなかったほど多くの装備が単純なもので、また自作可能なものであることが分かってくる。
「自分は不器用だから」は言い訳。私の両手には障害があり指の数は８本、うち正常に動くのは６本しかない。大事なのは技術よりも根気、才能よりも熱意。常に実用第一に考えて細部に囚われないようにしたい。最近は多少マシになってきたかもしれないが、私の作った物には近づいて見るには耐えない部分が沢山ある。しかし何よりも注目して欲しいのは、自作の道具で実際に数千キロもの長距離トレイルを歩けた、という事実。かつての私もそうだったのだが、お金で買って済ますことしか知らない人にとって、この事実は衝撃的ではないだろうか。
以下は私の自作の道具たち。
 バックパック（CDTで使用） |
 レイウェイ・タープ |
 ネットテント |
 アルコールストーブ |
 プリマロフト・プルオーバー |
 バックパック（ATで使用） |
 ウエストバッグ |
 １・２泊用小型パック |
参考リンク
ウルトラライト・バックパッキングのパイオニア、レイ・ジャーディンのページ。タープ、バックパック、キルトなどを自作するためのキットも販売していて、大した技術や知識が無くとも作れるように丁寧な説明書やパターンなどが付属されている。このキットで基本を学べば、後は自分の好み・工夫で様々な道具を自由に作れるようになるだろう。レイジャーディンのタープを作ったのが私もギア自作のスタートであった。
日本のギア自作界の救世主。シルナイロン・ダイニーマXグリッド・キューベンファイバーなど、アウトドアギア自作のための材料を国内で販売している。
基本的な裁縫道具はオカダヤ新宿店あたりで揃う。アウトドア用途に使える生地は多くはないが、時々面白い生地もあったりする。
ダイニーマXグリッドやモメンタムなどの特殊な生地、そして衣服を作るためのオリジナルキットなどを販売。上記の写真のプリマロフト・プルオーバーはここから購入したパターンをもとに作ったもの。
アウトドアギアを作るための材料を幅広く販売。大抵のものはここで揃う。スタッフの対応の良さや値段の点で評判も良い。
自作ギアの作り方やアイデアを集めた情報サイト。ゴッサマーギアー社のバックパックG4の作り方なども公開されている。
アルコールストーブのことなら何でも載っている。ジュース缶から自作する アルコールストーブがULハイカーの定番。
ULハイキング界の中心的サイト。有料会員にならなければ見れないが、ギア自作のための記事も多く掲載されている。