逍遥遊
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6. Agua Dulce[454.4] - Mojave[558.3]


5月19日夕方にAgua Dulceを発ち、8マイル程歩いてキャンプ。
キャンプサイトからの眺め。
ピンクのフラミンゴが目印のOasis Water Cache[471.6]。

Casa de Luna

 5月20日San Francisquito Canyon Road[478.6]に到着。噂に聞いたトレイルエンジェル宅Casa de Lunaにここから行けるとは聞いていたが、そういえば住所も町の名前も方角も分からないのでヒッチハイクが出来ない。しかしそこはさすがアメリカ、道路で途方に暮れていると車の方から止まってくれて自動的にCasa de Lunaに到着。幸運にもドライバーはここの近所の人で、こっちが何も言わなくてもどこへ行きたいかは解っていたのだ。
 トレイルエンジェルのJoeとTerrieはとにかく明るく陽気な夫婦。ハイカーの信頼も篤く、上記のOasis Water Cacheも彼らによるものであった。ここの名物は毎日夕飯にハイカーに振舞われるタコサラダ(メキシコ料理)である。
トレイルエンジェルJoe & Terrie Anderson。
いつも陽気なTerrie。
バリカンを借りてBansheeに散髪してもらっているLimp。しかしこのあと彼は片方の襟足を失うことに。

Mojave

貴重な日陰で休憩するハイカー達。
セルフショット。
いよいよMojave砂漠が近づく。
メキシコ国境から500マイル地点。
貴重な水場は火事の消火用貯水タンク[502.0]。
流れの無いタンクの水に皆が手を入れて汲んでいる。そのまま飲むのはやはり危ないと思う。
小さくも建前は立派な交番、郵便局、ホテルが並ぶハイカータウン。個人の敷地である。建前だけでその機能は果たしていない。
 トレイルはモハベ砂漠の西端を南北に横切るが、その玄関口にもトレイルエンジェルがいる。そこはハイカータウン[518.4]と呼ばれ、庭を開放してハイカーに憩いの場を提供している。その名の通り町を模した手作りの小さな建物が並んでいる、ちょっと面白い所である。この先には日晒しの平地が待っているので、ここで夕暮れまで待ってから夜間に歩く(ナイトハイクと呼ぶ)ハイカーも多い。

 車でハイカーを追いかけながらサポートしているトレイルエンジェルBoomerの申し出で、この先の区間約16マイルをスラック・パッキングで夕方から夜にかけて歩くことにした。スラック・パッキング(Slack Packing)とは、歩いている際には不要なテントや寝袋などのギアを他の協力者に運んでもらい、自分は軽身で歩いて、また後で落ち合うというハイキングの方法である。中にはこれをズルイと嫌がるハイカーもいるが、自分の目的の第一は楽しむことであり荷物を運ぶことでは無いから、喜んでこの申し出に乗ったわけである。
 Boomerにはこれ以前以後にも何度もお世話になった。彼は去年のスルーハイカーでもあり、この後サポートでは満足しきれなくなったのかKennedy Meadows[702.8]からハイカーに変身、約千マイルを抜き抜かれつで共に歩いた。
夕暮れを待つハイカー達。
左からLimp、Banshee、Boomer。
午後4時揃ってスラック・パッカー達が出発。
ロサンジェルスなどに水を供給するためのアクアダクト。
水はパイプの中へ。ハイカーはパイプの上へ。
休憩。案外平地歩きは疲れる。
日が沈んでも歩き続け、夜十時にBoomerと再開。皆でカウボーイキャンプ。
この近くにNASAの基地があるとかで空に響き渡る爆発音のような音を聞いた。他のハイカーによると飛行物体が音速を超えたときに発生するソニックブームの所為だとか。よく解らないがさすがNASA。
風車が見え始めると次の補給地モハベの町が近い。
2009.05.26 Tue 10:53
MOJAVE 
現地時間25日19:00
 メキシコ国境を出発して早1ヶ月。本やインターネットがあるとはいえ、やはり出発前は分からないことだらけでしたが、ようやくスルーハイキングという生活の流れが見えてきました。自然環境、トレイルの状況、補給方法、食料、その他すべてが新鮮な体験です。

 中でもトレイル上での生活は新鮮。南カリフォルニアは日差しが強烈で日が長いので、朝五時過ぎから歩き始め、正午前後に二・三時間昼寝をして、夜は七・八時まで歩けます。日本の登山者の感覚だと午後三時を過ぎるとそろそろテン場を探したくなるものですが、こちらでは夕方からが距離の稼ぎ時。比較的天候が安定しており、乾燥して夜露に濡れることも稀なので、日が暮れたらシェルター無しでトレイル脇にバッタリ、というスタイルがごく普通に行われています。(ちなみにシェルター無しのキャンプをこちらのハイカーはCOWBOY CAMPと呼んでいます。)食事や休憩はトレイル上で済まし、歩くことそのものが生活となり、なにかシェルターは家というよりもベッドで、トレイルそのものが家、という感覚です。

 シェルターを装備から完全に外すのは危険だと思いますが、自分も天候を見てちょくちょくCOWBOY CAMPを実践。目を開けると星空、ちょと病み付きになりそうです。

 とはいえ、もう南カリフォルニアも終盤、昨日は558マイル地点からMOJAVEの町に降りて来ました。(ヒッチハイクをしようにも案外車が少なく、結局昨日は合計35マイルも歩くはめに(涙)。)あと一週間もすればシエラの玄関口KENNEDY MEADOWS、また環境が変わります。

 道路を歩きながら一人でヒッチハイクをしていたのだが、日曜夕方ということが関係しているのか、3時間で通った車は10台程、結局歩いてモハベの町に着いてしまった。途中で年配の夫婦が一度止まってくれたのだが、「荷物が満載で乗せてやることは出来ないが水を持っていけ。わかってるのか、ここはモハベ砂漠だぞ。」と念を押され水を沢山くれた。ひたすら真っ直ぐ砂漠を走る舗装路、ある意味アメリカ的な貴重な体験だったのかもしれない。二度とやりたくはないが。

 モハベはハイウェイ沿いに発展した典型的な町で必要なものはたいてい揃う。シエラに備えて、日本から送って貰った軽アイゼンやタープに取り付ける蚊帳などをここで受け取り、またここから次の補給点Kennedy Meadowsへと食糧を送った。

 補給する町はモハベ以外にテハチャピという選択肢もある。最近はテハチャピの方がハイカーに人気があるそうだ。なんでもハイカーフレンドリーなインターネットカフェがあり自転車まで貸してくれるとか。


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