逍遥遊
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1. Campo[0] - Warner Springs[109.6]


スタート

2009.04.23 Thu 03:39
タイトルなし 
20090423033941
現地時間22日11:30。いよいよスタート地点に来てしまいました。予定より早いですがスタートします。


 ガイドブックやハイカーのジャーナルで見ていたPCTモニュメントが、現実に自分の目の前にある。ついに来ちゃった、とうれしくて一人で笑いが止まらなかった。南にはメキシコ国境の壁が、北にはPCTが伸びている。ここでは誰にも会わなかったが、このモニュメントに備え付けられているレジスター(ハイカーが自分の名やコメントを書き込むノート)を見ると今朝も数人のスルーハイカーがスタートしたようだ。さあ自分も出発、いざカナダへ!


トレイルは線路を跨ぐ。

急ぐ必要もないので初日は約5マイル程歩いて早々キャンプ。

早速ラトルスネークに遭遇!トレイルの真ん中を陣取ってなかなか退いてくれなかった。

キックオフパーティ−

2009.04.25 Sat 08:12
タイトルなし 
現地時間24日16時
昨日の午後に20マイル地点レイクモレナに到着、26日朝までここに留まりキックオフパーティーに参加します。トレイルの情報やハンドメイドギアのコンテストなど楽しいイベントが盛りだくさんで飽きません。

 毎年4月後半の週末にPCT沿いのLake Morenaキャンプサイト[20.6]でPCTハイカーのためのパーティーが行われている。正式名称はAnual Day Zero Pacific Crest Trail Kick Off略してADZPCTKOである。様々なレクチャー、トレイルに関する最新情報、ハンドメイドギアコンテスト、オークション、DVD上映など一日中イベントが詰まっていて、食事まで振舞われる。また協賛するアウトドアブランドが商品を展示・販売している。日本ではなかなかお目にかかれないTarp Tent、Gossamer Gear、Six Moon Designs、ULAなどなど、好きな人にはたまらないであろう。

 しかしこのパーティーに参加する意義で一番大きいのは、何よりも多くのハイカーやトレイルエンジェル(ハイカーを助けてくれるボランティア)と知り合えることであろう。ここで出会った人々にはこの先何度も出会い、お互いを知っていることはいつでも大きな助けになった。ちなみにこちらのハイカー達は、お互いを実名とは異なるあだ名(トレイルネーム)で呼び合うという習慣を持っていて、一度では覚えられないような変な名前が沢山ある。何と忘失した名前の多いことか、メモをこまめにとるべきだろう。自分のトレイルネームは本名からそのまま”Yas”。むこうでは”Yes”とほとんど区別がつかないようで、単純だが覚え易くはあったようだ。

 ここに到着したのが4月23日、24・25日を初めてのゼロデイ(全く歩かない日、つまり0マイルの日)として、26日朝食後に再び歩き出す。南カリフォルニアとはいえ、朝晩はまだ寒い。朝のレイク・モレナは氷点下まで下がった。


モレナ湖畔。

キャンプサイトにて。手前が自分のタープ。

アウトドアメーカーGossamer Gearの展示。

ハイカーによるレクチャー。その名もバックパッキング・シークレットセミナー。

ハンドメイドギアコンテスト。自作ハンモックを紹介するハイカー。

そしてこちらは自作タープ。しかし真面目なエントリーはこれぐらいで、大半はジョークグッズだったりする。

サボテン

2009.04.28 Tue 11:54
タイトルなし 
20090423033941
現地時間27日20:00
SAN FELIPE VALLEYの手前70マイルあたりで今日はキャンプ。

 San Felipe Valley[77.2]あたりからいよいよ雰囲気が出てくる。”砂漠”と聞くと砂丘(ラクダがいそうな?)を思い浮かべる人が多いかもしれないが南カリフォルニアの砂漠はそれとは異なり、むしろ”荒野”と言った方がイメージが掴み易いかもしれない。西部劇のカウボーイが出てきても不思議ではない、そんな景色の中をトレイルは続いている。

 トレイルのコンディションは大変良く、登り降りも丁寧に巻いて傾斜はいつも緩やか、PCTガイドブックの言葉を借りればトレイルは常に”Gentle”であった。しかし逆にこれでもかという位に遠回りするような時もあって、標高差があればある程その分距離を歩く必要があるのも事実である。PCTは山頂を目指すトレイルではなく、その正式名称Pacific Crest National Scenic Trailの示すとおりScenic(景勝地)を巡るトレイルなので、山頂や尾根にこだわりがちで傾斜のきつい日本の登山道と比べれば距離を稼ぐのは圧倒的に簡単である。
 余談だが、PCTの全長は2663.5マイルであるが、そのスタート地点からゴール地点までを車道で結んだ最短距離はたった1600マイルしかないそうである。PCTのスルーハイキングはゴールすることが目的ではない。偉大なる寄り道の旅である。


Mt. Lagna[43.0]からの日の出。

セルフショット[66.4]

San Felipe Valley[71.6]でキャンプ。こんな素晴らしい景色の中、見渡す限り自分一人。

San Felipe Valley

San Felipe Valley

自然のサボテンに囲まれて歩く。日本では経験できない貴重な体験。


 水の確保はハイカーの重大な関心事である。特に乾燥した南カリフォルニアの水場は限られており、常に先の水場を把握して歩く必要がある。幸いにも水場の最新情報は毎年ボランティアによって提供されており、インターネットから、あるいはキックオフパーティ−会場で簡単に手に入る。 沢や泉はもちろん、トレイルエンジェルによるウォーターキャッシュも貴重な水場である。水があるだけでもありがたい、たまり水から人工の消火用タンクや家畜用の蛇口などの”飲用不可”の水まで色々飲んだ。自分はボトル式のウォーターフィルターを使っていたが、スルーハイカーはバンダナで濾して浄化剤(アクアミラ)というのが多かったようだ。

   左はScissors Crossing[77.2]にて。写真のように、トレイルエンジェルがハイカーのためにボトルに水を詰めて置いておいてくれるのである。こうしたウォーターキャッシュは南カリフォルニアだけでも十数か所あるだろう。感謝!

トレイル脇に赤い箱が。トレイルエンジェルによる差し入れかと思いきや、中身は鉛のおもり!トレイルにいるのはエンジェルだけとは限らないようだ。

スキップしたくなるような気持のよい草原をトレイルは貫く。[103.6]

みごとな自然の造形。Eagle Rock[106.6]。

 4月29日正午、スタートから最初の補給地点Warner Springs[109.6]へ到着。ここはPCTから歩いて15分ほどのゴルフリゾート。ゴルフ場とその付属のレストランと宿泊施設、そしてその周辺に郵便局とガソリンスタンド付属のミニマート、それがすべてである。本格的な食糧補給は期待できないので、前もってここの郵便局へと局留めで食糧を送っておく必要がある。郵便局で無事自分の荷物を受けっとった後、この日はここの宿泊施設Waner Springs Ranchに泊まることにする。ハイカーは通常より大分安く泊まれる。


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